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2011年11月23日

(続)談志師匠のマクラのように語る

ええー、まったく、最近は能書きが多い店ばっかりですね、ホント。いちいち、説明にきやがるんだ、これはドコトカでとれたナントカです、とか、このお肉はあちらのソースと合わせて召し上がって下さい、とか。あのさぁ、レストランってのは、緊張するために行くところじゃないんだ。うまけりゃ、それでいいってもんじゃないんだ。ゆったりと、雰囲気を楽しむって場合もあるってこと、分かんないのかね。
ま、本当に一流のシェフ、特にオーナーシェフは分かってる、うん、分かっている、と思いますけどねぇ。でも、これが個々のサーバーのレベルまでおりてくると、転倒しちゃうんだな。そう、自分の店でもないくせに、態度が「これから説明してあげるから」とか、「ほら、うまいでしょ、ウチ」みたいな、自分たちが自己満足に浸るためにあるかのような構図になっちゃう。
いや、この前もね、ウチのかみさんの誕生日だったんで、あるレストランに予約して、行ったんですよ。ところが、メニューみても、なにひとつわかんないわけ。これは、うん、笑っちゃったね。
ちなみにその日のメニューは、<山形牛サーロインのスピエディーノ><フォアグラのパスティッチョと無花果のコンポスタ><鮮魚のヴァポーレ><ストロッツァプレッティ ボルチーニとアンチョビ><バッカラとサフランのマンテカート 雛豆のプレア><鮪とパプリカのクッキアイオ><トルテッリ 山鶉のリピエーロ クレマ ディ トピナンプール><鹿のロースト サルサ リクリツィア><栗のムース コーヒーのグラニテ>。
どうみても、このメニュー、普通の客を「田舎もん」扱いするためのものとしか思えない、でしょ。この中に説明きかないで分かるもの、ひとつでもある?えっ?ボルチ―ニとアンチョビは分かりますって?ばか、オレだってそのぐらいは、分かるってばさ。
あのぉ、たとえば、スピエディーノってのは、ですね、イタリア語で、串刺しって意味なんだそうです。じゃ、<山形牛サーロインの串刺し>って書きゃいいじゃんかって、オレなんか思う。そう書いてあるほうが、よっぽど、気取ってなくて、お洒落なんじゃ、ないんですかねえ。
いやね、実はお洒落っていうのは、だね、ちょっとでも「気取る」とか「気負う」とか、そういうところがみえたら、おしまいなんですよ。だから、逆にいうとね、お洒落な客は、きっと、このスピエディーノって言葉が分からなかったら、サーバーにきいちゃうと思うよ。これって、どういう意味なんですかって。で、その時に、そのサーバーの方が、気負うことなく「いやあ、串刺しのことなんですよ」って、さらりといってのけられるか。これが、一流のレストランかどうかを分けるポイントになるんじゃないか、とオレは思うね。

談志師匠のご冥福をお祈りいたします。

2011年11月10日

Chuck LorreとChristopher Lloyd

ボクが、チャック・ロアーという人がいる、と知ったのは、Big Bang Theoryというコメディを見ていたときであった。ボクは、このCBS系列のシリーズが、いま大のお気に入りである。Seinfeldなきあと、そしてFriendsなきあと、いま最先端のコメディだと思う。この間北米に出張した際、二つもDVDを買ってしまった。主人公の一人シェルデンのセリフは、どれも抱腹絶倒するものばかりだが、その一方で、いやーよく考えられているなあ、と感心してしまう。インテリジェンスがみなぎったコメディである。そう、リック・ペリーとか、ミシェル・バックマンとかには、絶対に通じないユーモアになっていると思う(でも、ニュート・ギングリッヂには通じるかも)。
で、このシリーズのプロデューサーがチャック・ロアーなのである。どこかで見る名前だな、と思ったら、チャーリー・シーンが物議をかもして降ろされたコメディTwo and a Half Manのプロデューサーでもあった。こちらのシリーズは、ジョン・ステイモスが新たに主人公に決まって、新しいシーズンがスタートした、ときいていた。で、これも、先日北米に出張した際、この新シーズンの第一話を見る機会に恵まれた。大ヒットだった前作の二番煎じになって質が低下するのではないか、と思いきや、とんでもない。すくなくとも、この第一話を見る限りは、期待できる内容となっていた。というわけで、あらためて、ロアーの才能をひしひしと思い知らされたのであった。
Christopher Lloydの方は、もともとFraiserのプロデューサーとして名前を知っていた。ボクは、しばらくの間、この方は映画バック・トゥー・ザ・フューチャーの「ドック」役の俳優さんと同一人物とばかり思い込んでいた。ところが、実は同姓同名なだけで、違うひとなのだ、ということを最近になって知った。
さて、この方の最近のヒット作はModern Familyである。これも、いやはや、実に面白いコメディである。歳の離れたメキシコ人の女性(連れ子あり)と結婚した中年男性。その男性の息子とやり手の奥さんの間に3人のこまっしゃくれた子供がいる。そして、その奥さんの男兄弟がゲイで、パートナーと一緒にベトナム出身の娘を引き取って育てている。この三つの家庭が舞台となって、話が展開する。現代アメリカの家族形態の諸相を鋭く捉えており、こちらもインテリジェンスに満ちている(モルモン教徒のミット・ロムニーやジョン・ハンツマンには、通じないだろうけど)。
いやー、やっぱりアメリカのコメディは、裾野が広いし、才能を感じさせるものが多い。そして、俳優さんたちが、みんなうまい。もしボクがアメリカで生まれていたら、きっとそういう道をめざしていたと思う。