卒業おめでとう 2010
河野ゼミ6期生のみなさん、卒業おめでとう。
君たちがゼミに入ってきた頃、ボクはちょうどサバティカルをスタートし、この2年間、ボクの学生との接点はほとんど君たちに限られていました。そんななか、君たちに会いに、月曜日に大学に向かうことが楽しくて、ボクの生活に大事なリズムを作ってくれました。飲み会、合宿、旅行など、とても多くの想い出もできました。君たちのおかげで、この2年間、ボクの人生が豊かなものになりました。本当にありがとう。
このブログを読む時は、君たちはすでに新しい生活をはじめているでしょう。追いコンの時にいったように、あまり過去を振り返ってはいけません。過去を振り返り、大学時代はよかった、ゼミは楽しかった、などと考えるのは、今を十分に生きていないからです。これから、君たちは、大学までとは違う魅力ある人々に出会い、この世界に生まれる多くの人が想像もできないような恵まれた環境で仕事をする機会を得て、自分が生きていることの素晴らしさを感じ、幸福を追求できるのです。広く自分の心を開いて、いろいろなことを受け止め、大きく育っていってください。
先日、トーマス・ジェファソンのゆかりの地、Monticelloを訪れた時、ガイドの人が面白いことを語っていました。ジェファソンが大統領になった頃、センサス、日本でいうところの国勢調査が行われました。ジェファソンのところにも係りの人がやってきて、職業は、と尋ねました。すると、彼は「大統領」でも「政治家」でもなく、farmer、つまり農民と答えたのだそうです。もちろん、彼は独立宣言の起草をはじめ、多くの自分が成し遂げてきた業績を誇りに思っていました。しかし、彼は、できることなら、美しいMonticelloに引きこもって、農作業にいそしみたかったのだ、と伝えられています。
大きな富を得ても、さまざまな業績を積み重ねても、人のうらやむようなパートナーと結婚することができても、自分なるものが揺らぐことはないのです。いや、揺るがない自分があるからこそ、人は人生に成功するのです。
卒業にあたって、今年はジェファソンの以下の言葉を贈ることにします。
In matters of style, swim with the current; in matters of principle, stand like a rock. (Thomas Jefferson)
卒業に、そしてこれからの幸せな人生に、乾杯!