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オーストラリアでの困難

かの田中愛治大先生の代役で、オーストラリアのブリスベンに行ってきた。ボクにとっては、生まれて初めてのオーストラリア体験である。ところが、これが、どたばたとヒヤヒヤの連続となった。
ま、正直言って、ちょっと高を括っていたところがあった。オーストラリアは先進国だし英語も通じるしね、とか。ほらよく言うじゃない、オーストラリアって、日本と時差がないから、行くのが結構楽だってね、とか。どこか勝手に自分で自分を納得させていたのである。心に油断とスキがあったのである。
そこに、しっぺ返しがきた。
生まれて初めて訪れる外国なので、もっとちゃんと用意周到勉強し、敬意を払うべきだった。
まずは、そもそも成田空港でのこと。チェックインしようと思ったら、JALのカウンターの女性に「ビザをお持ちでないようなので、チェックインできません」といわれてしまった。ビザ?オーストラリアに行くのにビザがいるのか?いるんですねー、これが。知らなかった。もう、ボクは顔面真っ青、頭真っ白。「どうしよう。せっかく3日3晩頑張って論文仕上げたのに…、ああ、田中先生になんて言い訳しよう…」。いろいろなことが脳裏を駆け巡った。と、そのとき、カウンターの方がいう、「あの、あちらのJTBさんで、まずビザを取得してきてください。まだお席に余裕はありますから、大丈夫です」。
はーん?
そうか。ビザって、別に、大使館や領事館に行って申請するわけじゃないんだ。急いでJTBにいくと、そこでは丁寧に対応してくれた。お値段は3000円少々。事前に知っていれば、自分でオンラインで申請できるビザなのである。なあーんだよ。それじゃ、ここにネットにつながっているパソコンがあれば自分でできたんじゃないかよ。3000円なんて、ちょっと高いじゃんかよ。なんでJALは「お向かいのJTBさんで、どうぞ」なんて、特定の旅行会社を名指しできるんだよ。やっぱりこの二つの老舗会社は、裏で結託してんじゃないのかよ…。などなど、いろいろいいたいことが即座に頭をよぎったが、それらをぐっとこらえ、ボクはあわててJALのカウンターに戻り、搭乗手続きをすませて、一目散にゲートに走って行ったのであった。
さて、そんなハプニングのせいで、ボクは第二のミスを犯した。オーストラリアドルに換金することを、まったく失念していたのである。それに気づいたのは、飛行機の中であった。しまった。ブリスベンに着くのは、朝の7時半だぞ。両替はまだ空いてないかもしれないぞ。しかも、ボクはホテルまでタクシーで行かなければならないぞ。クレジットカードが使えず、現金オンリーの可能性もあるぞ。あーあ、しまった。
しかし、ブリスベン空港につくと、幸いなことに、ボクのキャッシュカードが使えるATMがあった。そこでとりあえず100ドルをおろす。ついでにタクシーに乗り込むときにも、念のため「クレジットカード使えますか」と聞く。すると、なんのことはない、クレジットカードも使えるとのことだった。なあーんだよ、ぜんぜん、大丈夫じゃんかよ。別に心配することなんか、なかったじゃんかよ…。
ひと安心していると、タクシーの運転手がしきりに話しかけてくる。
「……ダアイ?……ドェイ……ダァ……デェイ?」

わからん。なにをいってんの、この人?ここ、英語しゃべる国じゃなかったっけ?
なんども聞き返してようやくわかってきたのだが、どうやら「こっちにいるあいだに、オージー・ルールズという、オーストラリアのフットボールがあるから、それを見に行け」と薦めてるらしい。それでボクは思わずきいてしまった、「ホワット、イズ、オージー・ルールズ?」。
これが、第三の失敗だった。
その運転手は、驚いた、というか、どうもプライドが傷つけられたようだった。
お前、オージー・ルールズを知らないのか、それも知らないで、よくもこの国を訪れているな、というような雰囲気がタクシーの中に充満した。ボクは話題をそらそうと、オーストラリアはサッカー強いよね、ほら、あのヒッピーみたいな髪型した、背の高い、ケネディーっているでしょ、あれいま、日本でプレイしているんだよ、とか、いってみたが、「ケネディって知らない」と一蹴されてしまった。
それでも、なんとかホテルまで着いた。支払ったのは50ドル。しかし、あとから分かったのだが、やっぱり吹っかけられていた。空港からは30ドルぐらいで着くはずなのだそうである。あーあ…、ま、しょうがないかな。オージー・ルールも知らなかったんだしな。もっと、ちゃんと勉強してくるべきだったな。敬意を払うべきだったな…。
さて、ホテルの部屋に案内されて、もうひとつ、ボクはミスを犯していたことに気づいた。オーストラリアでは、電源ソケットの形がまったく違うのである。これじゃ、パソコン使えないし、ヒゲも剃れない。それで、ホテルのフロントに電話して、変換器具を届けてもらうことになった。「18ドルです。お部屋につけておきますか?」
正直言って、今回、ボクはオーストラリアやブリスベンについてのガイドブックを一冊ももたずに、飛行機に飛び乗ったのであった。というわけで、事前の準備不足に、見事に祟られたオーストラリア初体験となったのであった。