ランチタイムのミニサラダ
昼時にレストランに入ると、「今日のスペシャル」とか、「今日のサービスランチ」というのがどこにでもある。そうしたメニューは、安いところでは650円ぐらい、高くても1000円ぐらいが相場で、だいたい「ミニサラダ、ドリンク付き」ということになっている。昔ながらの洋食屋さんだとメインは揚げ物でそれにライスかパン、今風のカフェだとメインはパスタやサンドイッチで、それらのほかにミニサラダと、食後のコーヒーか紅茶がつく、ということになっているのである。
しかし、ボクは、このランチのミニサラダ、あまり好きではない。
まず第一に、ランチに出てくるミニサラダは、本当に文字通りミニチュアの、まったく食べた気がしない程度の量しかでてこない。ボクぐらいの歳になると、サラダというのは、普段からの野菜摂取不足を補うために、モリモリ、ザクザク食べたい。そう、サラダとは、いろいろな種類の野菜が大盛りに盛られていて、それを食べたら「あ、オレ、今日は健康になったかも」という幻想にかられるようなものでなければならない。しかし、である。ランチのミニサラダは、こうしたサラダの概念からは外れている。それはいつもちっぽけな透明のボールにでてくる。しかも、たいていはレタスかサラダ菜だけ。たまに玉ねぎのスライスが1-2枚、あるいはプチトマトがひとつ、あるいは缶詰コーンが8-9個、上にのっかっているときもあるが、それはラッキーな方で、基本的にはランチタイムのミニサラダは数枚の葉っぱでしかない。あのねえ、こういうの、サラダっていわないんだってば。「ミニサラダ、ドリンク付き」なんて宣伝するの、誇大広告だってば。
第二に、ランチタイムのミニサラダには、ドレッシングがあらかじめかかっているのが多い。それも、たいていかけすぎぐらいにかかっている。これがまたボクは気に入らない。その日、ボクはサラダをドレッシングなしで食べたいと思っているかもしれないじゃないですか。じゃぶじゃぶのフレンチじゃなくて、ゆずゴマドレッシングをほんのちょっとたらして食べたいと思っているかもしれないじゃないですか。いや、そんなことないですよ、ちゃんと「ドレッシングは何になさいますか」と訊くレストランだってありますよ、とあなたは反論するかもしれない。うん、たしかに、ところによってはドレッシングに選択肢が与えられる場合もないわけではない。しかしだね、キミ、そもそも、葉っぱしか入っていないサラダごときに、「ドレッシングは何になさいますか」もなにも、ないんじゃないの。ドレッシングを選べるぐらいなら、もっと中味の方を充実させる方がよっぽど先決なんじゃないの。
第三に、ランチタイムのミニサラダは、もうかれこれ数時間も前に作られ冷蔵庫の中にいれておかれたものが出されている、という感じがしてならない。たしかに、ランチ時、お客さんでごった返しているときに、サラダをいちいちつくって出すわけにはいかない。だから、流行っている店であればあるほど、ミニサラダはずっと前に作りおきされていたものである可能性が高い。しかしだね、アンタ、2時間も前に切った野菜、いや葉っぱ、がみずみずしいわけがないでしょうが。だからって、ドレッシングをじゃぶじゃぶぶっかけてごまかそうなんて、見え透いてるってもんでしょうが。
あ、そうそう、名誉のために言っておきますが、ボクがよくいく「高田牧舎」では、「ミニサラダ」というメニューが別にあり、葉っぱだけではないサラダを注文することができます。残念ながら、ドレッシングは選べないけどね。