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同窓会の人生訓

先日、小学校の同窓会が、地元横浜で開かれた。
卒業してから35年がたつのに、同窓生約80名のうちほぼ3分の1が出席した。コアのメンバーは、ボクらの卒業した小学校に、自分の子供たちを通わせている(あるいは通わせていた)OB・OGたちであった。彼らは、普段からPTAだ、運動会だ、バーベキューだ、といったつながりがある(あった)らしい。加えて、ちょうどボクらの多くが、子育てにひと段落した年齢にさしかかったので、今回はとくに大盛況となったようである。
同窓会は、お化け屋敷に似ている。興味津々、中をのぞいてみたいけど、どんなサプライズが出てくるかわからないのでちょっと怖い。まずは、みんな自分のことをちゃんと覚えていてくれるだろうか、という不安がある。「ボクだよ、分かる?」と話しかけて、「ええと、誰だっけ?」と言い返されたらたまったものではない。今回、ボクは会場へ着くなりM山さんから「あ、XX君?」と間違えられてしまった。ちょっとショックであった。
同窓会では、暴かれたくない過去の事実が暴かれて赤面する、ということもよく起こる。たとえ今はどんなに立派な大人となっていたとしても、その立派さをいとも簡単に覆してしまうような、想い出話がひとつやふたつ必ず出てくる。
たとえば、今回幹事の1人であるS君。Mnちゃんに次のようにいわれていた(そうである)。
Mnちゃん「私ね、『2番目』っていわれた」
S君「2番目?」
Mnちゃん「そう。『1番好きなのはO田さん。Mnちゃんは2番目だからね』だって」
同窓会は、また、予想もできない形で、自分の行動や人格を見直すよい機会となる。うん・・・、いや・・・、というか、ですね・・・、今回、ボクは自分がいかにサイテー男であるかを思い知らされ、見事にたたきのめされてしまった、のであります・・・。
ことの発端は、名簿の回覧であった。ボクがこの同窓会に最後に出席したのはもう30年も前のことで、ボクが出席しないでいた間にこの名簿が作られ、住所とか勤め先の変更を更新するため今回もそれが各テーブルをまわっていた。その名簿には、近況をひとことずつ書く欄も付いていた。ところが、どういうわけか、前回まで出席していないにもかかわらず、ボクの近況のところに書き込みがしてある。「H川さんとデート。ハマトラファッションの悪口をいわれたH川さんから嫌われる」とある。??なんだこれ??H川さんとデート?デートなんてした記憶ないぞ・・・。そこで、ボクは、自分の周りにいる人たちに「ボク、H川さんとデートなんてしたことないのになあ、おかしいなあ」と、10数年遅れの「火消し」をしてまわった(つもりであった)。
さて、しばらしくして席替えとなり、ボクはH川さんのそばに座った。そこで、ボクはH川さんに、「デートなんて、したことないよね」と確認を求めた。そしたら、H川さんは、「デートじゃないけど、2人で原宿の辺、行ったわよ」とおっしゃる。ガガーン。2人で?原宿?ホント?
H川さんは素晴らしい女性である。大人の、できた女性である。そのとき彼女はボクに向かって「覚えてないなんて、サイテーね」と言うべきだった。しかし、彼女はその言葉をまるごと飲みこんで、笑顔で一緒にツーショットの写真に収まってくれたのである。うーん、本当に素晴らしい。それに引き換え、なんと自分は・・・。
人間は、知らない間に他人を傷つけながら生きている。
わかっていたつもりではあったが、今回は、この重要な教訓をきわめて劇的な形で思い出させてくれた。そう、同窓会とは、人生の中で大っ恥をかき、自分を省みるための貴重な場を提供しているである。