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内閣支持率とテレビ視聴率と松沢知事の禁煙化撤回について

麻生内閣に対する支持率が20パーセントに落ち込んだ。
テレビに出てくる政治評論家の中には、知った顔で「内閣支持率が20パーセントに落ち込むと、内閣が倒れる可能性が高い」などという方がおられるが、ボクなどはいったいどういう根拠でそんなことがいえるのだろうと思ってしまう。別に20パーセントという数字できれいに線が引けるわけがないじゃないですか。実際、今回の麻生さん、粘り腰をみせて、結構長い間政権を延命しそうじゃないですか。30パーセントでも15パーセントでもなく20パーセントが政権維持のための内閣支持の限界だ、などと主張する、そんな理論は、もちろん学問としての政治学とはまったく無縁です。
内閣支持率の数字は、いつも内閣に対する不支持の率の数字と対で登場する。当然、今の麻生内閣に対する評価でもそうであるように、支持率が低ければ不支持率が高くなるという逆相関を呈することが多いが、必ずしもいつも支持率と不支持率とが逆に振れるというわけではない。場合によっては、支持でも不支持でもなく、「わからない」とか「どちらでもない」という、態度を保留する人、あるいは中立の人が多くなることだってありうる。
さて、テレビ番組には視聴率というものがあるが、かねがね、ボクはこの視聴率という数字は意味のない数字ではないか、と思っている。それは、視聴率はポジティヴな支持率に対応しているけれども、ネガティヴな不支持率をまったく捉えられないからである。たとえば、ですね、ボクはある民放局の夜のニュース番組が大嫌いで、絶対に見ないことにしている。キャスターが傍若無人で、その人がしゃべっているとむかむかしてくるし、しかもそのとなりに座っている女子アナがプロとは思えない、まったくつまらない相槌しか打たないからである。もちろん、視聴者の中には、むしろこのキャスターの傍若無人さをいいと思う人もいるだろうし、可愛いお天気担当のアナウンサーに魅かれて見る、という人もいる。だから、実際、この番組は、そこそこの視聴率をとっている。しかし、その視聴率の数字からは、見てない人の多くが、単なる態度保留・中立派なのか、それともボクのような、この番組だけは絶対に見るもんか、と考えている積極的拒否グループなのかは、知る由もないのである。
・・・などということを考えていたら、今日、神奈川県知事の松沢さんが、業界団体の反対にあって、推し進めようとしていたレストランや居酒屋など公共の場の全面禁煙化の方針を引っ込めることが報じられた。面白かったのは、松沢さんが実際に居酒屋に行って、タバコを吸っている客たちに、「もし禁煙になったら、となりの県の居酒屋まで、遠出するか」と質問していたことであった。しかしだね、松沢さん、世の中には、居酒屋やレストランが(あるいはパチンコ店だって)タバコ臭いから、そういう場所に行かないようにしている、という人もたくさんいるんじゃないんですか?そういう人たちの意見というのは、(現にいまタバコ臭い)居酒屋に来ている人に聞いてみたって、捉えられませんよね?居酒屋に行って、そこの客に聞き取り調査することって、(パフォーマンスとしては面白いけど)はっきりいって無意味ですよね?
いうまでもないが、昔たくさんあった「喫茶店」では、タバコの煙でいつももうもうとしていた。もし喫茶店の客だけに聞き取り調査をしていたら、タバコの吸えない「スターバックス」が成功するなどという予測はありえなかっただろうね。