リユニオン
ゼミの一期生と二期生がうちに集まった。
みな忙しいので、全員というわけではなかったが、10名ほどで楽しい時間を過ごした。
彼らは、卒業してからずっとうちに遊びに来たいといっていたので、ようやくそれが実現できてよかった。前の日から、大きな鍋でカレーを煮込んでおいて、それをメインにした。あとは、野菜サラダとパスタサラダを作った。みんな、おいしい、おいしい、といって食べてくれた。まあみんな、本当によく食べること・・・。冷蔵庫はすっかり空になった。
彼らから、いろいろなことを言われた。
「先生、相変わらず、若いですね」←これは嬉しい。
「でも、ちょっと白髪増えましたね」←じゃかあしい。
「結構オシャレなところに住んでますね」←さんきゅー。
「インテリアとか、ご自分で選んだんですか」←失礼な、オレにセンスがないとでもいうのか。
正直言うと、卒業したら学生たちはボクのことなんか忘れてしまうのではないか、と思っていた。だから、彼らがボクをいまでも慕ってくれるのはとてもうれしい。でも、卒業したら、やはりどうしてもかつてのようには、緊密に連絡を取り合うことができなくなってしまう。もしかしたら、いつかボクのことを忘れてしまう人も出て来るだろうと、やっぱり思う。
でも、それでいいのである。
ルイ・アームストロングが歌うように、ボクは彼らが成長するのを見守ることしかできない。彼らはこれからたくさんのこと、ボクがいま知っている何十倍、何百倍のことを学んでいくのである。
ボクは、たしかに、彼らの若かったある一時期に、多少彼らの人生に影響を与えたかもしれない。しかし、ボクが彼らの人生にこれからずっと影響を与えられるような存在であるわけがない。
重要なのは、彼らがもうすこし年を取ったときに、今度は立場をかえて、彼ら自身が次の若い世代に自分の経験や理想を語っていく責務を負うということである。そのとき彼らも、きっといまのボクと同じ心境に達すると思う。そうして、時代が変わっても、素晴らしい世界が続いていくのである。
いや、だからって別に、ボクのことを忘れろなんていってるんじゃないですよ。
いや、というか、もし君たちが偉くなって、日経新聞の裏面の交遊録にボクの名前を出してくれたら、それはきっと嬉しいと思うよ。それから、君たちが成功して会社つくって、ボクにその「社外取締役」に就任して下さいなんていうリクエストをもってきたら、きっと大歓迎するだろうねえ。とくにボクの定年の頃にそういう話を持ってきてくれるとありがたいんだけどなあ。
あ、そうそう、もちろん、おいしいワインとチーズをもって、先生今夜いっぱいやりましょうよ、とブラリと訪れてくれるのも、とっても嬉しいかも・・・。
みなさん、また会いましょうね。