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Decaffinated Coffeeその他の発明

Decaffinated Coffee、つまりカフェイン抜きのコーヒーを発明した人は、天才である。なんたって、コーヒーのコク深い香りや味を、カフェインの作用を気にせず楽しめるということを可能にしちゃったんだからね。ボクはこれでもけっこう繊細な神経の持ち主なので(←ほんとダヨ)、夜遅くなってからコーヒーを飲むと眠れなくなる。外食をするとレストランによってはデザートが登場するのが10時とか10時半を過ぎることもあるが、こんなに遅くなってからコーヒーを飲んで大丈夫かな、と心配になる。そういうときに、店の人からDecaffinated Coffeeもありますよ、といわれるととても嬉しい。
ところで、このDecaffinated Coffeeって、日本語で何というんですかね?英語ではこれを「De-Caf」(前方Deの方にアクセント)と略すのであるが、日本で「ディカフェ」といってもほとんど通じない。実は、昨夜も、夕食のあとに丸ビルの一階にあるカフェでデザートを食べようということになって、ウェイトレスさんに「ディカフェありますか」といったら、ぜんぜん通じなかった。そこで、「カフェイン抜きのコーヒーありますか」と聞き直すと、そのウェイトレスさんは不思議そうな顔して「カフェインだけのコーヒーですか」と聞き返してきた。ナイスボケ!キミねえ、ちょっとねえ、いくら若いとはいえねえ・・・、もうすこし勉強しなさい。
考えると、世の中の発明には、「ナントカ抜きカントカ」系と、「ナントカ入りカントカ」系との、正反対の方向性をもった二種類がある。前者の典型として、昔から名を馳せているのはなんといっても種無しブドウ、より最近では種無しスイカでしょうかね。これらを発明した人は、すごく偉いと思う。口にいったん入れてから出すあの「ぺっ」(スイカの場合は「ぺっ、ぺっ」)という、人間にとってなんとも醜い行為を、この世から消滅させた貢献はたいしたものである。それから、アルコール抜きのビールとか、アルコール抜きのシャンパンとかいうのもあるけど、これらを発明した人も、もちろん偉い。社会から悪酔い飲酒運転を減らすことに貢献しているんだから、もう表彰モンである。
これに比べると「ナントカ入りカントカ」系の方の発明は、あんまりぱっとしない。ちがうものを一緒にしようという発想には、効率性や利便性の追求というところもあるが、それらを通り越して、手抜き、馴れ合い、安っぽさ、などといった概念に通じるところがある。たとえば、安いホテルに泊まると、バスルームに「コンディショナー入りシャンプー」が置いてある。これをみると、ああ、このホテル経営努力をしてて偉いなと、たしかに一瞬思うが、次の瞬間とっても悲しくなってくる。シャンプーとコンディショナーもちがう容器に入れられないのかよ、そこまでするのかよ、そこまでするホテルにオレは泊まっているのかよ・・・、といった感じである。実際、コンディショナー入りシャンプーなるものの洗い心地は、よかったためしがない。
と、思ったら、今朝「ナントカ入りカントカ」系の発明で、毎日お世話になっているものがあることに気付いてしまった。あの、「野菜一日これ一本」とかいう類のドリンク。あれは、すごい。あれを飲むと、健康になった(心地よい)錯覚に陥るところがとってもよい。