生ゴミ粉砕機
前住んでいたマンションには付いていなかったが、いま住んでるところのキッチンには生ゴミ粉砕機が装備されている。なんとも便利なしろものである。野菜の切り残しから、パスタから、フランスパンにいたるまで、なんだって中に落としてしまって、ガーガーとやる。そして、音がガーガーからシューシューに変わったら、仕事が無事完了したという合図である。本当にきれいに何でも処理してくれる。これが無かったら、きっとわが家から出るゴミの量は、二倍程度に膨らんでいると思う。もうボクはこの機械にぞっこん惚れ込んでいる。
考えてみれば、生ゴミ粉砕機ほど、頻繁に使われている家庭用電化製品はないのではないか。だって、そうでしょう、電気洗濯機、これ毎日使っているご家庭ありますか?ま、そういう几帳面なご家庭もあるのかもしれないけど、ウチではため込んで一週間に一回走らせるぐらい。ウチのには、乾燥機までついているのに、そんなの使ったことがない(←一度試したらものすごい時間がかかったから)。電気掃除機、これも、毎日使うご家庭はないんではないでしょうかね。それから、ミキサーやジューサーの類。これらは、まあ、パーティでも開いて、凝った料理を作るときぐらいしか活用されない。トースターも炊飯器も毎日は使わないし、電子レンジだって一日おきぐらい。そうねえ、使用頻度の上で、生ゴミ粉砕機に対抗しうる電化製品といったら、ステレオとパソコンかな。しかし、これらは、明らかに系統が違うので一緒にはすることはできない。ね、どうです、もう生ゴミ粉砕機の独走、圧勝でしょう。
と、ここまで書いてきて、キッチンへ行き何か飲もうと思ったら、にわかに声がするではありませんか。まずは電気冷蔵庫の低い声。「ちょっと、あなた、私だって毎日お使いになっているでしょうに・・・それに気がつかないのは、ひどくありませんか」。ああ、そうだった、そうだった、冷蔵庫さんには、確かに毎日お世話になっている。冷蔵庫さんの恩を忘れてはバチがあたりますね。その横から、コーヒーグラインダーの甲高い声。「あなた、挽きたてのコーヒーは全然ちがうとかいって、毎日私を使って豆を挽いてコーヒーを飲んでいるではありませんか。ちゃんと感謝してもらわないと困りますよ」。ああ、そうでした、そうでした、コーヒーグラインダーさんにもお世話になっていました。失礼しました・・・
ただですね、生ゴミ粉砕機の素晴らしいところは、使い終わったあと、きれいさっぱり何もない状態になっているというところなんですね。この歯切れよさ、あとくされのない性格(←?)。江戸っ子が「おぅ、たばんなってかかってきやがれ」とかいって、悪いやつらをばっさばっさと切り捨てているような気持ちよさ。ま、大川橋蔵の役回りだね(←だれも知らないって)。でも、もちろん、中になにか間違ったものを入れてしまうと、いつまでたってもガーガーはシューシューにならない。実は、ボクは、前に一度、ビンビールの蓋を落としたまま、粉砕機を回してしまったことがあった。そしたら、蓋が、角が取れた蓋に結構カワイク変身を遂げて、出てきたのでした。ね、ボクの江戸っ子橋蔵君は、とっちらかっているやつらの更正までをも手がけている、本当にすごい機械なのです。