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名前について

アメリカの高校に初めて一年間留学したとき、ボクの名前Masaruを正確に発音できる人がなかなかいなかった。カリフォルニアの小さな町で、日本人と接するのがはじめてというごく普通のアメリカ人高校生ばかりだったから、ま、しょうがないといえばしょうがない。マサルの「マ」にアクセントがついて「サルゥ」と尻つぼみになったり、「サ」をヤタラに強調する結果「マサールー」とかなったり・・・「そうじゃない、そうじゃない、どこにもアクセントをおかずにフラットに言ってみてヨ」と、最初はそのたびごとに修正してたんだけど、こちらも面倒くさくなり、しだいに「覚えてくれたんだから、なんでもいっかぁ」と思うようになってしまった。それにしても、英語以外喋ったことのないアメリカ人の語学に関する不器用さといったら、ひどいもんだ。ボクの名前のように、母音が三つ入っているだけでもうお手上げという人がたくさんいた。なかには、「Masa」と省略して「私はあなたをそう呼ぶことにしたの」と勝手に決め込む人までいたんだからね。
だいたい、一般のアメリカ人たちの名前って、ありふれてるのが多すぎると思いませんか?男だとデーヴィッドとかスティーヴとか。女だとステファニーとかリサとか。学校で30人ほどのクラスだと、必ず、二人ぐらいずつデーヴィッドとリサがいる。よくもまあ、混乱しないものだ、と思う。
さて、先日、バークレイで再会した友人K・K君のパートナーは、フィリピン出身で、名前をシェリルという。ボクは、ずっと、彼女にはフィリピンの名前があって、でもアメリカに来たらみんなにそれをうまく発音してもらえないので、シェリルという呼び名をつけたものとばっかり思っていた。イタリア人でもマルコをマークと言い換えたりする人もいるし、似た発音の元のフィリピン名前に由来したニックネームなのかな、と思い込んでいたわけだ。そしたら、フィリピンでは、アメリカの植民地統治時代の影響で、生まれたときから英語の名前をそのまま付ける場合があるんだってね。(←これ、本来は考えさせられる重たい問題を含んでいるわけだけど、今回はそれ以上深く突っ込まないことにして、話しを進めることに。)「へぇ~、で、なんでシェリルなの?」ときくと、その答えが面白かった。お父さんがテレビで放映されていたチャーリーズエンジェルの一人シェリルラッッドのファンだったから、だって。「えっ、ホントカよ」って、感じでしょ。フィリピンでは、今では、「マイケルジョーダン」とか「タイガーウッズ」とかいう名前をつけられる子供たちがいるんだそうです。彼女の子供時代には「ベートーベン」と名付けられた男の子が同級生にいた、といっていた。ファーストネームで、ですよ。いくらなんでも、それは可哀想だなあ、と思いながら、それでもボクは笑ってしまった。
ちなみに、シェリルには妹さんがいるそうです。しかし、その名前はジャクリンではありませんでした。ファラフォーセットでもありませんでした。残念でした。