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2011年はどういう年だったか

みなさま、新年おめでとうございます。

年末や年始に「どんな一年だったか」ということを考える人が多かったと思う。
テレビでもラジオでもそのような放送をしていたし、雑誌でもそのような特集をしていた。
「どんな一年だったか」ときかれて、それを一言で表現することなど、なかなかできない。震災もあったし、ボクの場合は結婚もしたし、いろいろな記憶と感情が混ざり合ってしまって、ううっ、と考えてしまう。
しかし、ちょっと専門的な観点からすると、過ぎ去った去年という一年は、とても特徴ある年だったように思う。それは、エネルギーはあるんだけど、それが組織化されなかった年、とでもいうのだろうか。
たとえば、エジプトなど、中東の民主化。世界史的にみると、これは間違いなく、去年起こった事件の中で、圧倒的に最も重大な事件だった。そして、そこには、莫大なエネルギーが垣間みられた。次から次への国境を超え、そのエネルギーが旧体制を追い込んでいった。リビアのカダフィも殺されたし、シリアのアサドが追われるのも、もう時間の問題だろうと思う。しかし、エネルギーはあるんだけど、それが結晶化していかない。いったいどういう新しい体制ができるのか、どういうリーダーがでてきてどのように仕切るのか。組織化の行方が不透明であり、いまでもそうした状態が続いている。
あるいは、ニューヨークのウォールストリート占拠を皮切りに、世界にまで拡大した反体制、反市場主義の運動。結局、警察などによって占拠は排除されたが、最後まで、だれがリーダーとなり、何を目指しているのかが、わからなかった。ただ、エネルギーだけが充満し、組織化されずに終わった。これは、いま、アメリカの共和党の中にある、ティーパーティ運動についても言える。反体制、反ワシントン、反オバマで、ものすごいエネルギーがたまっているのに、それをまとめる組織としては、何もない。
そして、日本における、震災からの復旧や復興にむけた取り組み。多くの善意があり(もちろん多くの悪意もあるが)、たくさんのボランティアが動き、莫大な予算が投入され、文字通り、国家をあげたエネルギーが、そこにつぎ込まれている。しかし、ここにも、命令系統や意思疎通がはっきりしないという問題、いってみれば組織化の未熟さの問題がある。
われわれは、携帯電話やsocial networkなどによって、人々を動員することが前よりも安価にできることになった。その反面、組織をつくるという能力を失ってしまったのかもしれない。これは、結構卑近な問題である。どのようにして、ゼミをまとめるか。そしてゼミOB会を、みんなが楽しく意義あるものと思ってもらえるようにしていくか。