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2009年02月10日

リゾットの顛末

この前から、リゾットを作りたいとずっと思っていた。どういうわけか、冷蔵庫に使いかけの粉チーズが3本も並んでおり、そのうち1本ぐらいは使い切らなきゃ、とずっと気になっていたというのが主な理由である。あと、フェアジョン先生に、つくり方のコツを教えてもらったというのもある。結構強火でかき混ぜない、というのがアドバイスであった。
リゾットを作るためには、綿密な計画と下準備を必要とする。
ボクの場合、リゾット作りの全行程は、一日目と二日目との二部に分かれる。
一日目。ボクはリゾットをチキンスープで作るので、まずはそのチキンスープを用意しなければならない。大きな鍋に水を入れ、鶏のモモ肉とガーリックを丸ごと全部薄く刻んだのを放りこんで、月桂樹の葉っぱと塩コショウで味付けして、コトコトとやりだす。しかし、リゾットに使うのは、このうちの4分の1ぐらいである。なので、煮立ったところで、そのぐらいの分量を他の容器に移す。もちろん鍋に残っている鶏肉がもったいないので、そこに長ネギ、ニンジン、椎茸、をいれ、時間を見計らってジャガイモを入れて、ネギが柔らかくなるまで待つ。一日目は、そのスープと具を食べる。そう、だからリゾット作りの一日目は、実はリゾットにはありつけないのである。しかし、これは計画通り。おいしいリゾットを食するのは、次の日のお楽しみ、というわけである。
二日目。ようやくリゾット作りに入る。別容器に移しておいたチキンスープを冷蔵庫から取り出す。もし脂肪が浮いているのが気になれば、それを取り除いてもよい。おー、順調、順調、これで今日は美味しいリゾットが作れるぞ、とわくわくしてくる。次に、玉ねぎを細かく切る。そして鶏のササミ。これも小さめに切る。どちらもあまり量が多くてはいけない。さて、ここにガーリックを細かく刻んでフライパンで炒めて、コメを入れて、スープを足していけば、出来上がりなはず・・・、おー、やったね、もうすぐもうすぐ・・・。
・・・と、そこまではすべてが計画通りに進んでいる感じであった。
ところが、ですね、そこに思いがけない落とし穴が待っていたのでありました。
歯車が一個、かみ合わなかった、というか、足りなかった、のであります。
それは何かといえば、ガーリック。
ボクは、なんとガーリックをまるごと全部、きのうのスープを作る段階で使い果たしていたことに、その時点で気づいたのであります。
あちゃー、もう遅いじゃんか。玉ねぎとササミ、切っちゃったじゃんか。フライパンにはオリーブオイルを引いちゃってあるし・・・。あーあ、どうするんだよ、ガーリックが入っていないリゾットなんて、ありえないぞ。あたふた、あたふた・・・。
しかし、ここでボクは、はたと、とってもいいアイディアを思いつく
ガーリックの代わりに、カレーパウダーを入れるっていうのは、どうだ、と。
うん、そうだ、カレー味なら強烈なので、誰も(←といったって、食べるひとはボクしかいないのであるが)ガーリックが入っていないことを気にしないはずである。
で、これが大正解で、とっても美味しいカレー味リゾットができあがった。
というわけで、うーん、やっぱりオレは天才だな、料理ってのはこうして臨機応変にできなきゃいけない、などと食べている最中は悦に入りながら、すべてをきれいに平らげたのでありました。
・・・と、その自己満足からさめたころ、別のことに気づいてしまった。
カレー味のせいで、ガーリックの不在が気にならなかったばかりでなく、その夜結局ボクは粉チーズをまったく消費していなかったのであった。

2009年02月08日

旅の衣はダウンジャケット

2月の末が締め切りの原稿を抱えている。
実は、2つも抱えている。
まったくはかどらないので、いろいろ気分転換をしてみた。
まずは、歌舞伎座へ。お目当ての出し物は、吉右衛門の勧進帳であった。
前半、活気あふれるというよりは、落ち着いた弁慶がたんたんと演じられていた。
が、ひとつの見せ場である、巻物の中味を覗かれそうになりさっと身をかわすところで、静が動に切り替わる。そしたら、「播磨屋ア」と一声、自分でも思いがけず出てしまった。隣に座っていた方(中年の女性)は、一瞬席から飛び上がるほど、驚いていた。ごめんなさい。
菊五郎の富樫が凛々しくて、よかった。涙を振り払うかのようにさっと上を向き、引き下がる場面。ま、一度驚かしちゃったから、まいっか、という感じで、ここでまた、「音羽屋ア」とかけた。いや、ホント、声をかけたくなるくらい、情がこもって素晴らしかったです。
次の日。京都へ。
旅の~ 衣は~ すずかけの~~、ではなく、ブルーのダウンジャケット。
まったく普段着のまま、下着と靴下の替えと、パソコンだけをもっていった。
京都でのお目当ては、前回フェアジョン先生と行ったレストランOgawa。ホテルのコンシェルジェに「また来ました。いちばん遅い時間に、カウンター席を予約してください」と頼んだら、その場で電話してくれて、8時半に来てくださいということだった。
それで、それまで、じっくり原稿と格闘する時間ができた。
うん、格闘したけど、仕上がったわけではないです。
うん、まったく・・・。
さて、時間通り、8時半にレストランを訪れると、シェフ自らお出迎えしてくれた。挨拶を交わし、おまかせで9品のディナーを頼みました。牡蠣、河豚のお刺身、シラス(宍道湖産)のから揚げ、イベリコ豚のサラダ、などなど。最後は、鴨肉。長ネギがのって、ソースはバルサミコと(京都の)赤味噌を混ぜたソースでした。どれもが本当に絶品ばかり。ああ、来てよかった。もう感動しまくりでした。
若いお弟子さんたちが、ボクのことを覚えていてくれたのもとても嬉しかった。一人客なので、シェフがボクの相手をできないときは、そのお弟子さんたちが入れ替わり、会話を途切れさせないようにしてくれた。この辺、すごく教育が行き届いているなあ、と感心した。
一泊して、すぐ東京に帰って、その夜は、毎週恒例のテニスに参加。
相変わらず、自分から下手な仕掛けをしてペースを崩すという悪い癖がでて、コーチのO君は苦い顔をしていた。しかし、それでもダブルスで、M君夫妻に6-4で勝った。ちょっと嬉しかった。
・・・というように、論文を書くため、いろいろジタバタしてみた。
うん、ジタバタしたけど、仕上がったわけではないです。
うん、まったく・・・。