財布という厄介
このあいだ財布を落としてしまった。一時肝を冷やしたが、幸運にも届けてくれた人がいたので助かった。
ボクの財布は、結構分厚い。分厚いといっても、現金で太っているわけではない。圧倒的に多いのはクレジットカードやポイントカードなどの類である。そのほかに免許証、教員証、診察券といったID系のカードがある。それから、おつりと一緒に手渡されるレシートがたたんで入っていることもあるし、突然貰った名刺などが紛れ込んでいることもある。
このように太った財布を持ち運ぶのは、結構厄介なものである。ランチに出るときに忘れるので、鞄やバックパックにしまっておくことはできない。上着の外ポケットにいれると、スリの被害にあうのではないかと心配である。上着の内ポケットにいれると、重いのでそちら側の肩だけ下がってしまって格好悪い。というわけで、ボクの場合は、ジーンズの左前のポケットにいつも入れている。右前のポケットには、鍵やコインがはいっているからそれでバランスがとれる。かつて、財布は左のお尻のポケットと決まっていたのであるが、あまりに分厚いので椅子に座ったときに財布がお尻に突き刺さるようで座り心地が悪かった。それで、左前ポケットに昇格(?)させたのである。(なお、そのあおりで、それまで左前ポケットと決まっていた携帯電話が行き場を無くしてしまった。今のところ鞄の中へしまうことにしているが・・・)
そう、今思えば、ここには、ひとつのシステムがしっかりと確立されていたのである。ボクの財布が左前のポケットに入っていることには、それなりの理由があったわけだ。
では、それにもかかわらず、なぜ今回、財布を落とすという失態を演じたのか。
実は、その日、ボクは新しく買ったジーンズをはじめてはいたのであった。ボクは、前にはいていたジーンズのポケットのところがちょうど財布の形に色あせているのが気になっていた。それで、きっと、すこしでも長く、そうした跡がつかないようにこの新しいジーンズをはきたいと無意識に思ったのだろう。ボクは、武蔵小杉駅で目黒線から東横線に乗り換える直前に、財布をジーンズの左前ポケットから上着の左外ポケットに移したのである。午後4時ごろで電車も空いているし、まあスリの心配はないだろうと思ってのことだった。
これが間違いであった。駅について座席から立ちあがったときに、ボクの財布は、上着のポケットにしっかりと収まっていなくて、ポロリと落ちた(らしい)。
ボクは、日吉の実家ですぐにそれに気付いて、東急の落し物係に電話をかけた。武蔵小杉から折り返し発車していた目黒線の車両を特定し、目黒駅で車内検査をしてもらうことになった。そしたら、ちょうどそのとき、目黒駅にボクの財布を届けてくれた人がいたのである。なんと幸運なのだろうと思った
その日のうちに、ボクは目黒駅まで取って返して、財布を受け取りにいった。
ボク「財布だから、もう出ないとあきらめていましたよ。こんなこともあるんですね。」
駅員さん「ま、世の中、変わった人もいますから。気をつけてくださいね。」(←??)
関係者のみなさま、ご迷惑をおかけしました。