輝いている君へ
暑い日だったね。
第1試合は、緊迫した試合だった。
先に1点とられたものの、終了直前、ジェンのシュートで追いついた。
負ければ、その時点でトーナメントから敗退だったのに、PK戦で勝った。
君もちゃんと決めた。
ここで、君たちWolvesは、一気に流れをつかんだ。
いや、この試合を制した後は、君のためにお膳だてられたような、そんな一日だったね。
第2試合は、2-0。
混戦からの、君のシュートが、試合を決定づけた。
昼休み。
ここで、なんとも思いがけない幸運が待っていたね。
となりで練習していたナショナルチームのメンバーの何人かが、コーチのスティーヴを知っていて、訪ねてきてくれた。これは、本当にラッキーだった。
で、アンドリアが言葉を交わしてくれたんだってね。
しかも、アンドリアは、ちゃんと君の顔と名前を覚えていてくれたんだね。
それは、感動したよね。
「どう?勝ち進んでいる?あれ、君たちの何人かには、見覚えがあるぞ。エリーズ・コーノ、元気?怪我はもうすっかりいいの?」
背番号5が背番号5に話しかけたんだね。
これで、発奮しないわけがないよね。
第3試合は、3-1。
ホーリーが決めたのも、君からのパスからだったね。
スティーヴが、君とジェンを後半ひっこめて温存したら、チームはうまくまとまらなかった。でも、その判断は正しかったんだよ。だって、優勝をかけたもう一試合があったんだから。
で、いよいよその第4試合。
ここでも君は落ち着いて、でも力強くプレイしたね。
1-1で後半へ。
最後は誰がコーナーを蹴ったんだっけ?
スティーヴは、君をゴール前に貼り付けたかったんだよ。
で、君はちゃんとそれに応えた。
頭できれいに決めた。
生まれて初めてのヘディングシュート。
そして勝利を決めたヘディングシュート。
みんなから祝福をうける君。
君は本当に輝いていたよ。
トーナメント優勝、本当におめでとう。
――遠くから見守る父より